愛と資本主義

古のオタクの記録倉庫です。

感想 Bread & Butter

 

久しぶりに少女漫画を読みました。

芦原妃名子先生のご冥福をお祈りいたします。

 

 

■ Bread & Butter

 

 

 

どこかで序盤だけ試し読みをして、ずっと気になっていた漫画を全巻読みました。

ブレット&バター、パンとバター。ワイン好きなのでカリフォルニアの有名なワインを思い出します。

単純に「パンとバター」という意味ではなく、「人生に欠かせないもの」という意味があります。このワインを飲んだことがあるのでたまたま知っていた言葉です。

 

 

元教師の主人公・柚希がたまたま入ったパン屋さんのお兄さん・洋一に惹かれ、大胆な事に出会ったその日にプロポーズします。

ノリのいいお兄さんはこれを承諾し、お互いの事をほとんど知らないまま付き合うことになった二人。

洋一のパン屋はある人から店ごと譲り受けたもので、出してるパンは採算度外視だし洋一の前職で稼いだ貯金を切り崩しながら趣味でやってるような状態でした。

序盤はゆったりパン屋をやりながら近所の人と交流エピソードが多いですが、永遠にこの生活を続けることは出来ない事は柚希も洋一も気付いています。二人ともいい大人だからとても現実的です。

柚希は本気でパンの勉強を始め、お店を改装しようとするのですが7巻あたりでなかなか衝撃的な展開になります。ここは結構唐突でびっくりしました。同じ年齢、同じ立場にいたら私は背中を押せないかもしれない。柚希は強い女性です。

 

 

柚希は34歳だし洋一は39歳です。決して若くはないカップルです。

故に恋愛シーンは割とあっさりめに描かれており、全体的にゆったりしたペースで物語が進みます。

尖ったキャラは出てこないし、びっくりするような漫画的展開もありません。地味な漫画と言ったらそうかもしれない。そこらを歩いている一般的な人々の人生を見ているような感じ。みんなそれぞれ悩みを抱えていて、健気に毎日を生きてる。柚希と洋一だけではなくモブキャラの話も丁寧に丁寧に描かれるんですよね。

 

あとエロが一切ないです。これは大きい。

15年付き合った洋一の元カノが出てくるのですが、あくまで現在の元カノ側の人生がたまに描写されるだけでドロドロした展開もないです。

柚希の元カレも出てきますが既に家庭を持っていて、略奪とか不倫展開なんてもちろんありません。個人的には元カレの奥さんの話はかなり笑ってしまいました。

健全で素晴らしい。心が穏やかな状態で読めます。

この年代ならではの仕事や人間関係の悩みが鮮明に描写されててアラサーとしては胸がギュッとなります。

少女漫画っぽい表紙だと思ったけどあまり甘くなくて、優しくて温かい人間物語って感じでした。掲載紙は女性漫画誌だし、読者層に刺さります。

 

最終的にハッピーエンドなので安心して読んでください。

食事パンからペストリーまで美味しそうなパンがたくさん登場します。知らないパンも出てきて勉強になりました。アインパッケンとかこの漫画で初めて知った。

都会の洗練されたベーカリーから地元の小さなパン屋さんまで出てきてどれもみんな違ってみんないい、みんな美味しい。パンへのリスペクトを感じます。とにかくパンがめちゃくちゃ食べたくなる漫画です。

 

柚希と洋一、二人ともモノづくり職業同士のカップルで、職人気質でお似合いですね。

柚希が年相応にしっかりしてて安心して読めました。この間読んだNANAの登場人物とは真逆のベクトルです。これが年を取って落ち着くということですね。

もっと芦原妃名子先生の作品読みたいな。探してみます。